あらすじ
―久光。お前の名前の由来のように、暗闇の中で迷い続ける人を照らす光になりなさい。
亡くなった父が事ある毎に口にしていた、俺は名前の由来の通り、正しいことをしたはずだった。
四十七歳の営業マンである太田久光は、会社の常務たちの不正を警察へ通報した。
一年後、常務と共謀者たちが逮捕された日。
連行された中に夫がいた、忘れ物を届けに来た妻であろう人の顔が忘れられない。
罪を見逃すことはできない。
だが、正しさだけでは守れない明日もある。
売る人も、買う人も、そこで働く人も、誰か一人を犠牲にせずに済む店を作りたい。
そう願った久光は過労で倒れ、異世界の中古武具店アテナ屋を営む両親のもとへ、赤ん坊として転生する。
前世と同じヒサミツと名付けられた彼は、傷のある剣を欠点まで説明して売り、刃こぼれした武器は客に渡さない。
潰れかけた商売敵には、看板を捨てさせるのではなく、その看板ごと仲間に迎える。
しかも、前世から憧れていた刀を握った瞬間、剣士である父さえ打ち破る才能が目覚めてしまった。
刀で魔物を倒して素材を集め、安全な武器を作って必要な人へ届ける。
前世の営業経験と刀の才能を武器に、幼い武具商が人と店の明日を守っていく異世界商売記。