あらすじ
「井戸の妖精と話すだけの田舎聖女など、王家に相応しくない」
大聖堂の回廊で、第二王子ゼファーから一方的に婚約破棄を告げられた聖女令嬢リィナ。義妹分を名乗る《治癒》の聖女アイリスに王子を奪われ、辺境の「涸れ井戸村」へと追放されてしまう。
だが、貴族たちは誰も知らなかった。リィナのギフト《水精交渉》こそが、この国の水脈すべてを支える力であることを――。
前世はダムの管理技師。洪水と渇水を相手に、一滴の水を惜しんで働いてきた地味で泥臭い日々。その記憶と技術を持つリィナは、追放先の干上がった古井戸で、何百年も独りで泣いていた水の妖精ミオと出会う。実は彼女こそ、王都の噴水も、アイリスの聖泉も、国中の水を分け与えていた《源泉》だった。
「もう、ひとりにしないから」
寂しがりの水の子に寄り添い、前世仕込みの技術で涸れた村を緑に変えていくリィナ。一方、聖女を失った王都では――やがて、水が涸れ始める。
今さら泣きついてきても、もう遅い。『だが、断る』ですわ。
泣かない、喚かない。ただ静かに礼をして去った令嬢が、本当の居場所を見つける。心温まる転生ざまぁ&水の再生ファンタジー、開幕。