あらすじ
勇者が勝った。
王都は守られた。
――そして、壊れた。
崩れた城壁。割れた街道。吹き飛んだ水路。
勇者たちが命懸けで魔王軍を退けるたび、その後始末に追われるのが王国復旧局の現場主任、グレン・メイソンだ。
彼のスキル《完全修復》は、壊れたものを元の状態へ戻せる強力な能力。
だが、失われた材料は作れないし、すべてを一人で直せるわけでもない。
だからグレンは、今日必要なものから直す。
水を通し、道を開け、人が明日も暮らせるようにする。
勇者たちも悪くない。
騎士団も悪くない。
復旧局だって仕事をしている。
それでも魔王軍が何度も攻めてくる限り、仕事は終わらない。
「……もういい。向こうを見てくる」
剣ではなく工具袋を持ち、グレンは一人で魔王城へ向かう。
そこで彼が見つけたのは、戦争とは別の“故障”だった。
魔王を倒す力なんてない。
だが――壊れているなら、直せるかもしれない。
戦う者たちが世界を守り、
直す者たちが、その世界を明日へつなぐ。
これは、現場主任が専門職の知識と判断で魔王城まで直していく、異世界お仕事コメディ。