あらすじ
# あらすじ
山あいの小さな村、霧島村。
その片隅には、六十年もの間、ひっそりと営業を続けてきた古書店『八雲堂』がある。
店主は、八雲左京。
六十を過ぎた偏屈な老人だが、本をこよなく愛し、訪れる子どもたちには不器用ながらも優しい男だった。
そんな八雲堂も、左京の老いと後継者不足によって、閉店の日を迎えようとしていた。
閉店まで、あと十日。
静かになった店に、一人の女性が訪れる。
彼女の名は、サツキ。
それは、二十五年前にこの店へ通っていた少女と同じ名前だった。
そして左京の脳裏に蘇る、四十二年前の少年との約束。
「いつか絶対、この本を返しにくるから」
一冊の本をきっかけに、長い年月の中で途切れたと思われた人と人との縁が、再び動き始める。
古書店『八雲堂』で交わされた、二つの約束。
その約束が、閉店を目前にした左京のもとへ、静かに帰ってくる――。