あらすじ
中学生の夏、少年は同級生を殺した。
恨みがあったわけでもなく、憎んでいたわけでもない。
ただ、人が死ぬということを知りたかった。
少年は少年院に入り、そこで一人の女性心理学者と出会う。
「どうして、人を殺したの?」
「殺してみたかったからです」
そして少年は、別の問いを投げかける。
「先生。どうして、人を殺してはいけないんですか?」
心理学者はさまざまな答えを与える。
少年は、その一つ一つを理解していく。
やがて少年は、殺人が社会にとってなぜ悪なのかを理解する。
それでも――
「だから、どうして僕が殺してはいけないんですか?」
その問いだけが、最後まで残った。
そしてある日、都内で連続殺人事件が発生する。
それをきっかけに、少年の中で止まっていた何かが、再び動き始める。
これは、殺人犯の更生の物語ではない。
「人を殺してはいけない」という、誰もが当たり前だと思っている倫理を、一人の少年が最後まで問い続けた物語である。