あらすじ

わたくしの力には、目盛りがございます。 零から、十まで。 一で、王国最強の騎士団長と互角。 二で、竜の巣がひとつ消えます。 三で、軍がひとつ消えます。 五で、城が消えます。 十は、六十年前に一度だけ使われました。その痕が、いまの国境線でございます。 ですから、わたくしは毎朝、地図を広げて数を数えます。 二の届く先は半里。その半里の内側に、村はあるか。牛はいるか。薪を拾う子はいるか。 ――います。では、二は出せません。 わたくしはヴィオレーヌ・ド・ヴェルニュ。十八。〈段〉の当代でございます。 段は、声に出して数を宣言しないと上がりません。ですから敵にも読まれます。 上げた段の数だけ、半日ずつ冷めるのを待ちます。仕事を終えてその場を離れたときから、冷めるまで、この手が触れたものは砕けます。 二を出した日は、まる一日、わたくしは誰にも触れません。匙も持てません。扉は肘で開けます。 それでも朝が来れば、地図の前に立ちます。 「今日は――〈二〉で参ります」 わたくしにできるのは、加減だけでございます。

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小説を読もう2026/08/18
  • 現在の作品今日は解放出力〈二〉で参ります ~全力を出すと国が消えますので、わたくしは毎朝、出力を決めております~