あらすじ
40年前、「裂け目」の出現によって世界は大きく変わった。
ゲート、魔物、そしてハンターたちは、もはや人々の日常の一部となっていた。
しかし、黒瀬ミナトは、その世界で輝く者たちの一人ではなかった。
二十歳になった今も、ミナトはEランクハンター。
細く頼りない身体では、ゴブリン一匹を相手にするのがやっとだった。
それでも、彼には決して諦めることのできない目標があった。
――父のように、強くなること。
黒瀬健司。
かつて「ブラック・ファイア」の名で知られた、伝説のSランクハンター。
ミナトが生まれる前に忽然と姿を消し、名前と数え切れない謎だけを残した男。
そしてある日、ミナトは数人のハンターたちと共に、一つのゲートへ向かう。
だが、その探索は悪夢へと変わった。
想像すらできないほど強大な魔物。
一人、また一人と倒れていく仲間たち。
そして、最後の逃げ場となった謎の神殿。
そこで彼らは、人間が決して触れてはいけないものを見つける。
――黒い肉。
一人がそれを口にする。
そして、死んだ。
魔物たちが神殿へ侵入し始める。
逃げ場はない。
死が迫る中、ミナトに残された選択肢は一つだけだった。
黒い肉を見つめ、彼は自嘲するように笑う。
「せめて……腹を空かせたまま死ぬのはごめんだ」
そして、黒い肉を喰らった。
目を覚ますと――
そこに神殿はなかった。
魔物もいない。
仲間たちの姿もない。
ただ、夕暮れの静かな公園。
そして、全身を覆う黒い血。
その瞬間、ミナトの目の前に、これまでどのハンターも見たことのない文字が浮かび上がる。
【宿主の認証を開始……】
【適合を確認しました。】
その瞬間から、ミナトの人生は大きく変わり始める。
彼が手にした力は、「裂け目」からもたらされたものではなかった。
――そもそも、この世界のものですらないのかもしれない。
そして、黒い肉の正体に近づけば近づくほど、ミナトは父・黒瀬健司が姿を消した本当の理由へと近づいていく。