あらすじ
青凪大学の卒業祝いの飲み会で、私たちは「自分にはあるけど、ほかの人にはないもの」を言い合うゲームをしていた。
勝ちたかった私は、得意になって言った。
「私には、どんなに遅い時間でも、呼べば必ず迎えに来てくれる彼氏がいるよ」
みんなが囃し立てる中、親友の九条凛だけが急に笑顔を消した。
「紗耶、本当に神谷悠真のために留学を諦めるの?」
私がうなずくと、凛は私の手をつかんだ。
「私とあいつ、どっちか一人を選んで」
私はそのことを悠真に話した。
すると彼はスマートフォンを見せ、「凛」から送られてきたという意味深なLINEを見せてきた。
私は信じた。
凛と絶交し、その後、悠真と結婚した。
けれど結婚後、私は悠真とその母親、血のつながらない妹、そして愛人に嵌められた。最後には霧森県の山奥にある監禁場所へ送り込まれ、凍えるような羊舎の中で死んだ。
死んでから初めて知った。
私が自分から失踪するはずがないと、最後まで信じていたのは凛だけだった。
凛は私が連れていかれた場所まで突き止めたものの、青凪市へ戻って警察に通報しようとした途中、悠真の妹が運転する車に轢かれて死んだ。
そのときになって、ようやく分かった。
凛が悠真を誘惑したという写真もLINEも、全部偽物だった。
もう一度目を開けたとき、私は凛と絶交したあの日に戻っていた。
今度は、真っ先に彼女を抱きしめた。
悠真とは、もちろん別れる。
でも、ただ別れるだけでは足りない。