あらすじ

17歳の高校生・ハルには、二つの顔がある。 現実では、人とうまく話せない。 言いたいことはある。 頭の中にはちゃんと言葉もある。 それなのに、相手の顔を前にすると、 「今言ったら変かな」 「つまらないと思われたらどうしよう」 そんなことばかり考えて、結局何も言えなくなる。 けれど、インターネットの中では違った。 歌い手兼VTuber――「ハル」。 画面の中なら笑える。 何百人を相手に話せる。 歌える。 軽口だって叩ける。 SNSのフォロワーは、まもなく一万人。 いつしかハルは思うようになっていた。 現実の俺より、“ハル”の俺の方が価値があるんじゃないか。 そして、フォロワーが一万人になった夜。 スマホに一件の通知が届く。 《ハルがライブ配信を開始しました》 けれど―― ハルは、配信なんてしていない。 恐る恐る画面を開く。 そこでは、自分が作ったVTuberのアバターが楽しそうに笑っていた。 自分の声で。 自分の記憶を語り。 自分が誰にも言えなかった言葉まで口にして。 「……誰だよ、お前」 画面の向こうの“ハル”は笑う。 「だから、ハルだって」 変わりたい。 でも、変われない。 そんな少年がネットの中に作り上げた「なりたかった自分」。 それが本当に、自分とは別に動き始めたとしたら――。 本当の自分とは、どちらなのか。 これは、二人になってしまった「ハル」が、 たった一人の自分を探す物語。

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カクヨム
カクヨム2026/08/17
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