あらすじ
デジタル時代のアメリカン・ドリームを追って――最後のフロンティア、アラスカへ。
——————————————
アルデン・ヴォスは、シリコンバレーで仲間と会社を立ち上げた。
そして、自分の会社を失った。
経営の座を追われた彼が戻ったのは、かつて逃げるように離れたアラスカの小さな町、モロー・クリーク。
母を手伝い、亡き父が遺した傾きかけの暖房設備会社を処分し、すべて片づけたらカリフォルニアへ戻る。
そのはずだった。
だが、父の遺したものを一つずつ調べていくうちに、アルデンは気づく。
土地がある。
工場がある。
産業用の電力設備がある。
そして、山から流れ続ける水と、忘れられた小さな水力発電所がある。
同じ頃、海の向こうでは大量の中古Bitcoinマイニングマシンが市場へ流れ出し、かつてでは考えられない値段で売られ始めていた。
計算上、割に合うはずがない。
けれど――アラスカなら。
数台の中古ASICから始まった小さな実験は、やがてアルデン自身の人生を巻き込みながら、大きく姿を変えていく。
凍てつく冬。
不安定な電力。
壊れ続ける機械。
暴落するBitcoin。
途絶える物流。
競争相手と投資家。
そして、いつか尽きる「安い電力」。
すべてを売るために故郷へ帰ってきた男は、そこで初めて、シリコンバレーでは教わらなかった「価値」と向き合うことになる。
父が遺した工場。
故郷に残った人々。
自分が捨てたと思っていた過去。
そして、まだ何者にもなっていない未来。
本当に大切なのは、Bitcoinがいくらになるかではない。
最後に、自分の手元に何が残るのか。