あらすじ
32歳の俺は、死んだ。
2020年9月16日。
残業を終えた仕事帰り、歩道へ突っ込んできた車に撥ねられた。
薄れゆく意識の中で思い出したのは、冷え切ってしまった関係の妻だった。
その日の朝、キッチンに立つ妻に言えなかった、たった一言。
「行ってきます」
後悔を抱えたまま、俺の人生は終わった――はずだった。
次に目を覚ましたのは、見知らぬ高校の教室。
鏡に映っていたのは自分ではなく、
天野ハヤテという、17歳の少年だった。
そしてスマートフォンの日付は――2026年9月16日。
俺が死んでから、ちょうど6年が経っていた。
なぜ俺は、この少年になったのか。
本当の天野ハヤテはどこへ消えたのか。
何一つ分からないまま、それでも俺には一つだけ、どうしてもやり残したことがあった。
6年前に残してきた妻を探すこと。
しかし、臆病で目立たなかったはずのハヤテが突然別人のようになったことで、周囲の人間関係も変わり始める。
幼馴染の藤田ミナミ。
優等生の佐藤ミキ。
密かにハヤテを想う鬼頭ユキナ。
そして、ある事件をきっかけにハヤテへ興味を持つ先輩・瀬尾カレン。
彼女たちと過ごす高校生活の中で、俺は少しずつ「天野ハヤテ」としての人生を歩き始めてしまう。
それでも、忘れられない。
会いたい人がいる。
伝えられなかった言葉がある。
だが、妻を追い求めるほど、俺はある奇妙な事実に近づいていく。
――これは本当に「転生」なのか?
なぜ俺は、天野ハヤテなのか?
そして6年前、俺が死んだあの日に何が起きていたのか。
これは「転生」じゃない。
一つの心臓が繋いだ、二つの人生と、一つの愛の物語。