あらすじ
王立ヴェルジェ学園の卒業夜会。第二王子ジークヴァルトは、公爵令嬢セレスティアとの婚約を破棄し、男爵令嬢ミルフィを新たな婚約者にすると宣言する。
感情を表に出さないセレスティアが泣き、怒り、ようやく自分の価値を思い知る――そのはずだった。けれど彼女は静かに婚約破棄を受け入れ、腰に下げた革の手帳を開く。
王家主催の茶会を欠席した回数。彼女へ贈るはずの首飾りを別の令嬢へ渡した日。第二王子名義で、彼女が代筆してきた水路改修と南部救援の書面。そして、噂だけで彼女を責め、証言を握りつぶした夜。
さらに生徒会会計の帳簿は、王立奨学基金が宝飾品や別邸に流れていたことを示していた。学費を払えない子どものための金が、誰の冬を奪ったのか。
三年間、セレスティアは泣く代わりに記録していた。卒業夜会の中央で、ジークヴァルトは初めて、彼女が何を耐え、何を見ていたのかを知る。
この小説は、『婚約破棄、承りましたわ』の王子視点です。
まだ過去作を読んでいない方は先にそちらをご覧下さい。