あらすじ
豪華客船が沈没し、俺たち生存者六十三人は出口のない海底の巨大空洞に流れ着いた。
食料は三日分のみ。海を恐れて泳げない十六歳の俺は、腕自慢の船員たちから一番の役立たずと嗤われ、食料の配給列から弾き出されてしまう。
だが、連中には見えていなかった。岩壁の染みが示す崩落の兆候も、潮の満ち引きがもたらす致命的な危機も。
俺にはわかる。漁師の父を海で亡くして以来、十年間机の上で海の地図と潮流を狂ったように学び続けてきたからだ。
「帰る方法を探すのはやめよう。ここで生きる方法を作る」
場当たり的な行動で自滅していく大人たちを尻目に、俺は頭の中にある知識だけを武器にして、絶望の海底にゼロから国を創り上げる。