あらすじ
元新聞記者・猪飼寛貴のもとに、差出人不明の招待状が届く。
そこに記されていたのは、五年前に彼が追い、そして手放した、ある事件の続きだった。招待状には、猪飼しか知らないはずの記憶までもが正確に書かれている。
導かれるままにたどり着いた先にあったのは、表社会には存在しない完全会員制の「地下オークション」。
そこで売買されているのは、金でも宝石でもない。
有名人の秘密。企業の内部情報。政治家の過去。誰にも知られていない事件の真相――
いや、正確には違う。参加者たちが買っているのは、秘密そのものではない。
**「その秘密を使って、誰かの人生を動かす権利」**だ。
最初は単なる裏社会の情報売買だと思っていた猪飼は、出品リストを目にするうちに、ある違和感に気づき始める。
なぜオークションは、まだ起きていない事件の情報まで扱っているのか。
そしてなぜ、招待状を送ってきた誰かは、自分の過去をここまで知っていたのか。
謎が謎を呼ぶ先に待っているのは、一人の政治家の死。多すぎる証拠。そして、猪飼自身が決して思い出したくなかった、五年前のあの事件との再会だった。
秘密を追う者は、いつか秘密に追われる。