あらすじ
「攻撃魔法も使えない、身体強化もできない。『イースト』なんていう見たこともないハズレスキルを持つ陰気な女など、我が家にふさわしくない! 婚約破棄の上、国外追放だ!」
異母妹の自作自演によるいじめの罪を着せられ、実家を追放された子爵令嬢のアリッサ。
しかし、前世がパン職人だった彼女は心の中でガッツポーズをしていた。
「イーストって……これ、どう考えても『イースト菌(酵母)』のことじゃないの!?」
石のように固くて酸っぱい黒パンしかない異世界で、アリッサはスキルを使い、辺境の村で小さなパン屋を開業。
外はカリッと中はジュワッとバターが溢れる『塩バターロール』、外はサクサク中はフカフカの『メロンパン』など、現代の絶品パンを次々と焼き始める。
ある雨の日、裏口に倒れていた泥だらけの銀色狼を助け、大好物の『ミルクフランス』で胃袋を掴んだアリッサ。
「クープ」と名付けて毎日甘やかしていたが、ある日突然姿を消してしまう。寂しさに暮れる十日後、店の前に大量の近衛兵を引き連れた、王国最強の魔術師『レディオス・グランヴェル公爵』が現れて――!?
「やっと見つけた、私のお命の恩人。……いや、私の最愛のシェフ。君のパンのおかげで、獣化の呪いが完全に解けたんだ」
冷徹公爵として恐れられる彼は、アリッサの前では
「君のパンがなくて飢え死にするかと思った」「このまま君を食べてしまいたい」
と、甘々な大型犬に変貌してしまい……!?一方、アリッサを騙して追放した元婚約者や実家は、公爵の逆鱗に触れて爵位剥奪。
暗い鉱山で冷たくて固い黒パンを齧りながら涙を流すことに。ハズレスキルと蔑まれた少女が、究極の『贅沢生食パン』や『フレンチトースト』の香りで世界を救い、旦那様(元もふもふ)に極上に愛され尽くされる、糖度200%の美味しくて甘いシンデレラストーリー!