あらすじ
4月から、先生になる新田恵一が着任する小学校は彼の母校であった。門の横には他県からも見物客がくるほどの見事な桜があった。彼にもその桜の思い出があって楽しみにしていたのだが、久しぶりに見たその桜は落武者のように哀れな姿になっていた。校長先生によると近所から苦情がきて、枝を短く切ったのだった。
先輩の香坂夏美に30年分の桜の木の下で撮った入学式のアルバムを見せてもらうと、違和感を持つ。似たような女の人が何年かに渡って写っているのだ。
新人は毎朝、校門で児童たちを迎える。その中で、一人の女の子が毎日桜を横目で見て入ってくる。恵一が彼女に挨拶をしても、彼女は返してくれない。彼女の名前は井手薫、小学校5年生。同じクラスに薫と幼なじみの結人がいる。
また同じクラスに結人を好いている藤堂真莉愛がいる。真理愛はその仲間の紅実と心未と共に薫に意地悪をする。そして、誰もいない図工室で結人が薫をどう思っているか答えさせると、結人は薫の母に頼まれて面倒見てやっているといってしまう。それを、ドアの外で薫は聞いてしまう。
恵一が薫たちのクラスの学活指導を頼まれたとき、真理愛は薫を晒し者にする。薫はある障害の持ち主でクラスの係もやったことがなく、不公平だと言う。それを助けたのは、結人だった。
一方、校門の桜の根で児童が転倒する事故が何回か起きる。そして、桜は伐採されることになってしまう。薫は一年生のときに桜の女の人に助けられた。それでどうしても桜を助けたかった。
恵一が違和感を持った通り桜の横には女の人がいる。桜の女の人は薫にしか見えない。薫は桜の女の人に子供をこかさないでと頼むのだが、桜の女の人は俯いて反応しない。教育委員会には桜を伐採するなと苦情がきて、一ヵ月子供の転倒がなかったら伐採しないことになった。薫は必死に桜の人に話すのだが聞いてくれない。そんな姿に真理愛たちは薫の認識を変えていく。そして再び事故が起こりかける。
桜の人は、誰も見てくれないから事故を起こすのだと考えた恵一は、妙案を考えつく。