あらすじ
「才能がないやつは、いてくれるだけで邪魔なんだ」
三十九歳、柏木湊(かしわぎ みなと)。ダンジョン協会の下請けで資材を運び、死んだ探索者の遺品を回収する男。スキル鑑定の結果は十九年間ずっと「該当なし」。彼は一度も、ダンジョンで戦ったことがない。
大手クラン『天啓』のS級探索者・九条にそう言い渡されて契約を切られた夜。資材置き場の暗がりで、柏木は自分の掌の中に、見覚えのない光を見つけた。
昼間、九条が見せびらかしていた——あの切り札が、そこにあった。
使えるのは、一度きり。撃てば自分の手からも消える。そして、元の持ち主からも、永久に消える。
奪われた側は、二度と取り戻せない。だが消えたことに気づけるのは本人だけだ。だから誰も、彼を信じない。
才能がないと笑った男から、才能そのものを奪う。柏木が強くなるたび、この世界からスキルが一つずつ減っていく。
手札は増え、そして減っていく。最後の一枚を撃つとき、この男に何が残るのか。
※毎日21時更新/全30話・完結まで執筆済み