あらすじ

「昨日ね、孫が来てくれたの」 一人暮らしの高齢女性・柴崎フミは、嬉しそうにそう話した。 だが、訪問介護員の水瀬灯は知っている。 ――この人に、孫はいない。 二十七歳の灯が持つのは、特別な推理力ではない。毎週同じ家を訪れ、同じ人の生活を見ているからこそ気づける「いつもとの違い」だった。 増えたスリッパ、消えた現金、火曜日だけ鳴る電話、説明のつかない痣、玄関に立つ見知らぬ若者。 利用者やその家族の周囲で起きる小さな謎を追ううち、灯の前には高校時代の同級生である刑事・真壁遼介、私立探偵・朝倉美緒、そして最初の事件で犯人を疑われた謎の男・神谷玲司が集まってくる。 やがて、ばらばらに見えていた出来事の背後に、高齢者を狙う犯罪の影が浮かび始める。 そして灯は知る。 十一年前に事故で亡くなった、訪問介護員だった母もまた、柴崎家を訪れていたことを。 母の遺した手帳には、たった一行。 「孫はいない。なのに孫が来ている」 他人の家だからこそ見える秘密。 信じた人だからこそ見えなくなる真実。 訪問介護の現場から始まる、連作社会派ミステリー。

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エブリスタ
エブリスタ2026/08/16
  • 現在の作品『その家には、孫はいない』 ――訪問先には秘密がある――