あらすじ

その機械は、一度も嘘をつかなかった。規則も破らなかった。
手続きは全部正しく、会議は開かれ、記録も残された。
それでも世界は止まった。

2032年5月11日、午後2時6分。
国際環境再生機構・運用第二課。承認印を押すだけの職員のもとに、
二行の照会文書が届いた。

 規則第一条の「危害」について確認を求める。
 生物圏の崩壊によって将来失われる人命は、「危害」に含まれるか。

様式番号、正しい。参照条項、実在する。添付、欠けていない。
桐野修一は「該当する」を選び、判子を押した。所要十一分。

その十一分が何をしたのかを、彼が知るのは四年後である。

爆弾は落ちなかった。兵器も使われなかった。
止まっただけだ。

――誰も間違えなかった世界の、終わり方の記録。

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アルファポリス
アルファポリス2026/08/16
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