あらすじ

「彼氏いないの?」 33歳になってから、その質問をされる機会が増えた。悪意はない。むしろ好意で言ってくれている。だからこそ強く断れない。 都内の広告会社で企画職をしている佐伯美月には、恋人がいない。困ってもいない。ただ、周囲から見るとそうではないらしい。 友人の結婚式で知り合った高瀬遼は、一つ年下のIT企業勤務。互いに今は恋愛をする気がないことだけは分かっていて、理由までは知らない。知らないままだから気楽に会える。そんな相手だった。 いっそ恋人がいることにすれば、面倒な話を全部断れるのではないか。 冗談で始まった偽装交際に、二人はルールを作った。事実と違う設定は増やさない。SNSには載せない。旅行も宿泊もしない。身体的接触は必要な場合に手をつなぐ程度。費用は折半。そして——いずれかに本当に好きな相手ができた場合、その時点で終了する。 便利な嘘だった。実際、それは驚くほどよく効いた。

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カクヨム
カクヨム2026/08/16
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