あらすじ
二〇三〇年、地球軌道上に現れた超巨大宇宙船が謎の「バベル粒子」を撒き散らし、人類の一部を「適合者」に、動物の一部を暴走する「適合動物」に変えた。
力を持つ者が好き放題に振る舞い、社会は秩序側と犯罪者側の適合者に分かれて争うようになる。登録者の中には、危険を承知で現場に立つ実働部隊「ワード(WARD)」に加わる者もいる。
それから三十年後の二〇六〇年。
ワード所属の適合者・東雲蓮は、圧倒的な力を持ちながら、それを外へ「放出」できない異端者だった。盾と金属棒とショットガンを手に、泥臭い接近戦で日々の任務をこなしている。
ある任務中、蓮は旧地下に取り残された銀髪の幼女を見つける。強い適合者に現れやすい銀髪は、三十年前のある事件以来、世間から忌み嫌われる印になっていた。それは、蓮自身が黒く染めて隠し続けているものでもある。
唯一の引き取り先候補は「特異事象対策局」。表向きは保護と観察を掲げるが、その実態は不穏だった。蓮はこれを拒み、自らこの子を育てる決意をする。
隠した銀髪、封じた力。面倒事が増えるほど、大事なものも増えていく。そんな暮らしの裏で、対策局の影は少しずつ濃くなっていく。
血の繋がらない家族が、忌み嫌われる印を抱えたまま、それでも寄り添って生きていく物語。