あらすじ
「清掃しかできないB級は、うちには要らない」
十八年勤めた大手クランを、蓬田宗司(四十)はその一言で追い出された。
退職金の代わりに渡されたのは、房の欠けた廃棄モップが一本。
日銭のために始めた初心者ダンジョンの清掃配信。視聴者は七人。
そこへ、いるはずのない九層の主が現れた。
固有技能【完全清掃】が落とせるのは、〈その階層に本来無いもの〉だけである。
だから雑魚は一匹も倒せない。だが、場違いなS級ボスは――異物だ。
「床が汚れる」
ひと振り。コロンと角だけが、床に整然と残った。
その一部始終を、隣で暇つぶし配信をしていた最年少S級・ミコが全世界へ流していた。
「おじさん、今日の汚れは?」
「……ひとつです」
嘘をつく者、素材を横取りする者、実力を捏造する者。
彼らが床へ落としたものは、全部〈異物〉である。
宗司はただ、定時に帰りたいだけなのに。