あらすじ
人類が『能力』を発現してから十数年。
炎を操る者。
雷を生む者。
重力を曲げる者。
人智を超えた力は瞬く間に社会へ浸透した。
世界は大きく価値観を変えた。
能力こそ人間の強さである、と。
だが─。人々はやがて理解する。
能力だけでは強くなれない、と。
どれほど強大な力を操ろうと。
どれほど強力な体を持とうと。
能力もまた、技術に支配されるということを。
そこで復権したのが、武術であった。
空手。 柔道。 剣術。 相撲。
人類が数千年かけて積み上げてきた戦闘理論は、
能力という存在を取り込み、進化を遂げた。
能力と武術。
空想と現実。
奇跡の融合によって生まれた新時代の戦士たちを、
人々はこう呼ぶようになった。
『武能者』と。
そして、人々はこの目で見たがった。
この世界で一番強い存在を。
尽きぬ悪魔の好奇心は、遂に作り上げた。
『闘技場』を。
此処で重要なのはただ一つ。
どちらの『武』が強いのか。
鋼鉄の肉体を得ても。
未来予知ができても。
空高く飛行できても。
それでは二流にも満たぬ。
能力を武術に昇華させる。
そうであって一流となり得る。
何故なら彼らは。
異能者(マジシャン)ではなく。
武能者(ファイター)であるから。
【前編】
今宵闘技場で激突する二人の女は、
まさしく『武』の頂点に迫る怪物であった。
一人は空手家、『鉄鮫(てつざめ)』鮫川柔。
一人は剣術家、『渦蛇(うずへび)』羽生涼。
闘技場史上最狂の一戦が、 幕を開ける──。
【後編】
伝説となった熱き一戦を、
まやかしだと切り捨てる者が二人いた。
一人は『紅蠍(べにざそり)』蠍菱游。
一人は『凍蝶(いてちょう)』透羽雫。
武術は実戦でも通じるのか。
或いは競技に過ぎないのか。
『武』とは、何のためにあるのか?
命を奪うためなのか。
人を守るためなのか。
それぞれが答えを見つける時。
本当の勝者が決まる。
【この作品はカクヨムでも掲載しています(完結詰み)】