あらすじ
目を覚ますと、鋼の巨人がゴミのように捨てられた街にいた。
持っていたのは、三十二年ぶんの傷が残る手と、直し方が分かる目だけ。
魔力を持たない余所者に、この街の誰も期待しない。
誰も見向きもしない、鋼機。
だが匠には、道端の残骸が全部「使える部品」に見えていた。
鋼を喰う化け物に削られ、作る技術を失い、直し方だけが残った世界。
道具もない、金もない、名も知られていない男が、
拾った鉄と、手伝う子どもたちと、一軒の工房から始める。
これは、戦って勝つ話ではない。
壊れたものを、一つずつ直していく話である。