あらすじ
嘘をつくと、部屋じゅうから拍手が起きる。
ただし、何でもいいわけではない。嘘であること。事実より少しだけ立派に見えること。聞き手がいるつもりで話すこと。この三つが揃ったときだけ、誰もいないはずの部屋が拍手を返す。
川島修一はその規則を大学ノートに書き留め、会議で使い始めた。案が通る。同僚が週末の予定を聞いてくる。母の沈黙が消える。
やがて隣室の女性が訪ねてきた。登録者八十六人の音声配信者は、修一が口走った「十二万人の配信」を見学したいと言う。
金曜の夜八時。修一は電源の入っていないスマートフォンに向かって話し始める。
※単話完結の短編です。