あらすじ
「雪の刻印など、しょせん偽物の証だ!」
建国祭の夜、王太子ジェラルドは平民出身の「聖女」を選び、公爵令嬢セレスティアとの婚約を一方的に破棄した。
だが、彼女こそが本物だった。前世は北国の気象研究者で、過労死の末に転生したセレスティアは、生まれ持った「雪の刻印」を使い、十年もの間たったひとりで国境の吹雪を抑え続けてきたのだ。
「では、加護もお返しいたします」
喚くことも泣くこともなく、彼女は静かに刻印を溶かし、この国の加護そのものを手放す。感謝されることもなく「氷の令嬢」と陰口を叩かれ続けた祖国に、もう未練はない。抑える者を失った吹雪が目を覚ます音を背に、セレスティアは温暖な南国ソレイユへと亡命する。
生まれて初めて、指先の痛くない冬。そこで彼女を迎えたのは、無表情で不器用な――けれど心優しい残念な竜人将軍だった。
凍りついた心を溶かすのは、南国の陽だまりと、あたたかな竜人の想い。冷たさも含めて丸ごと愛してくれる場所で、彼女は本当の雪解けを迎える。
過労死研究者令嬢の、痛快な追放劇と、心温まる再生の物語。