あらすじ

「八時に、いつもの駐輪場だからね」 母はそう言った。ぼくは「わかってる」と答えた。 聞いていなかった。 二〇〇一年、七月。小学四年生のぼくは、生まれて初めて、 親なしで夏祭りに行った。 三千円と、四人の友達と、二日間だけ歩行者天国になる県道。 誘ったのは友達だった。ぼくは「まあ……行けたらだけど」と答えた。 行きたくてたまらなかったのに、そう言った。 金魚すくいは、一匹もすくえなかった。 屋台のおじさんが、袋に一匹だけ入れて、持ってきな、と言った。 その袋を提げて、待ち合わせの場所へ向かった。 ――駅の、反対側の出口へ。 二十五年前の、たった一日の話です。 その日もらった金魚は、二十二年生きました。

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小説を読もう2026/08/16
  • 現在の作品夏祭りの金魚