あらすじ
バーレ村の一般村民、ライン・バーレ、二十五歳。
真面目で働き者。困っている人を放っておけず、これまで何組もの男女をさりげなく結びつけてきた――のだが、気づけば村で最後の独身男性になっていた。
「お前は皆の縁を手伝った。今度は、皆がお前の縁を手伝う番だ」
村人総出のカンパに背中を押され、ラインは王都の婚姻相談機関へ向かう。
目的はただ一つ。
嫁さんが欲しい。結婚したい。
ところが、婚活登録に必要な適性確認を受けたところ、なぜか男なのに《聖女資格:適格》。
正式確認のため教会本部へ行けば、開かずの間が勝手に開き、伝説の勇者の剣がスポッと抜けた。
その翌日には、偵察に来た上級魔族が一目で跪く。
「お探ししておりました、我が主人」
さらには王家の血を一滴も持たないのに、《王位継承資格:適格》。
おかしい。結果は正しいのに、すべてがおかしい。
実はラインには、この世界に存在するあらゆる資格・認定・適性を、正規判定で無条件に突破するという唯一の異常があった。
ただし、資格と技能は別。
聖女術は知らない。剣術も知らない。国を治めた経験もない。
資格だけは世界最強。実務は一般村民から勉強中。
そんなラインの前に現れた最初の縁談相手は、資格以外なら本当に世界最強の王女、マルケリア・アトラシア。
誰にも突破できないはずの九重の縁談条件を、ラインがすべて突破してしまったため――
「……なんで条件を突破してしまうんですの!?」
「私、結婚したくありませんの!」
「でも条件を突破してしまった以上、縁談にはいたしますけどぉ!」
自分が提示した条件を曲げられない、生真面目で善良な彼女は宣言する。
「私に相応しい方になるか、あなたにもっといい方が見つかるまで、婚活は続けてくださいまし!」
かくしてラインは、世界中から舞い込む新たな資格、さまざまな種族や身分の女性との縁談、そして必ず付いてくる面倒ごとへ巻き込まれていく。
あらゆる資格は全部通る。
恋愛だけは、自分でやれ。
これは、世界のあらゆる境界を通過できる一般村民が、たった一人の心からの「はい」を求めて歩く、一話完結型・異世界婚活人情コメディ。