あらすじ
北山の御堂でひっそりと挙げられるはずだった祝言の日、花婿は忽然と姿を消した。残されたのは、不自然なまでに整いすぎた筆跡の文と、ただ彼を信じて待ち続ける純朴な娘・真砂。相談を受けた中宮・彰子は、女房の赤染衛門とともに、わずかな手がかりから不審な失踪の真相をたぐり寄せる。しかし行き着いた先には、刃も毒も使わず、ただ「恋」という幻で娘の人生を囲い込む、あまりにも卑劣な罠が待っていた――。圧倒的な観察眼で悪の正体を暴き、静かな怒りとともに苛烈な裁きを下す"石の中宮"の活躍を描く、平安宮廷ミステリー。