あらすじ

​「私たちの物語は、言葉にならない『余白』の中にだけ、真実を宿している――」 ​IT企業のナレッジマネジメント部門で、膨大な社内資料をアーカイブ化する佐々木栞。元図書館司書の経歴を持ち、情報の濁流に摩耗しそうになる心を、言葉の静寂で守り続けている女性。 同じ業界に身を置き、セネカなどのストア哲学を杖にして歩む「私」。 ​五月の晴れた土曜日。 二人は古書の香りが漂う街で、沈黙さえも共有できる唯一無二の心地よさを分かち合う。 狭い路地を曲がった瞬間、ほんの僅かに触れ合った指先。 それは実体のないデータの海では決して得られない、あまりにも繊細で、あまりにも確かな温度だった。 ​連なる山々に囲まれた共通の故郷、澄んだ空気の記憶。 都会の喧騒の中で、お互いという「灯台」を見つけた二人が綴る、静かで知的な恋愛短編集。 ​【登場人物】 ■佐々木 栞(ささき しおり) IT企業アーカイブ担当。元司書。ショートヘアと眼鏡がトレードマーク。内気で思慮深く、情報の整理と沈黙を愛する。 ■「私」 ITエンジニア。論理的で穏やかな精神の持ち主。ストア哲学を愛読し、言葉を丁寧に扱うことを信条としている。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/08/16
  • 現在の作品索引のない微熱