あらすじ
「橘一馬。お前を鳴神の荒野へ追放する」
「え、本当? じゃあ明日から温泉入り放題?」
武芸ができず「無能」と蔑まれていた橘家三男・一馬は、死の魔境へ追放された。
だが彼には、現代日本でインフラ建設の現場監督をしていた前世の知識がある。
泥沼を見れば暗渠排水。
荒れ地を見れば農地。
硫黄の臭いがすれば温泉。
「ここ、めちゃくちゃ良い土地じゃないか」
三本の鍬と二人の老僕から始まった小さな開拓は、やがて農業、土木、製鉄、物流、衛生、行政を巻き込み、一つの街へと成長していく。
そして、その街を狙って三千の軍勢が攻めてきた。
「三千人? じゃあ三千人分の食料と水が必要ってことだよね」
剣も魔法も使わない。
一馬が戦うのは、敵兵ではなく――兵站とインフラ。
最終兵器は、巨大な鍋で作った豚汁だった。
「降伏するかどうかは、食べてから決めればいいよ」
これは、追放された無能若君が、魔境を誰もが暮らしたくなる街へ変えていく物語。
目指すのは天下ではない。
美味い飯と温泉のある、最高のスローライフだ。