あらすじ
「お前を、このパーティから追放する」
S級冒険者パーティ《疾風の刃》をクビになった戦士ガルド。
巨大な体躯。鋭い眼光。顔に刻まれた傷。そして背中には巨大な大剣。
どう見ても、幾多の死線をくぐり抜けてきた歴戦の戦士である。
――だが、弱い。
剣を振れば当たらない。
盾役を任せれば普通に吹っ飛ぶ。
ドラゴンと戦えば、飛んできた石ころが額に当たって気絶する。
そう。
ガルドは無能だと勘違いされて追放されたのではない。
本当に無能だったのである。
そんなガルドが追放後に望んだのは、最強になることでも、元仲間を見返すことでもなかった。
静かな町でクエストをこなしながら、大好きな絵を描いてのんびり暮らすこと。
ところが――。
強面すぎて、なぜか凄腕の戦士と勘違いされる。
困っている人を放っておけず、なぜか頼られる。
そして気がつけば、天才魔術師や神官の少女まで、なぜか自分の周りに集まってくる。
「…………」
俺は弱いぞ?
それに、そんなに俺のそばにいて怖くないのか?
もっともガルド自身は気づいていない。
自分が描く絵が、人の心を動かすことも。
自分の不器用な優しさに、人が惹かれていることも。
これは、隠された最強スキルもなければ、覚醒する予定もない見掛け倒しの無能戦士が――。
大好きな絵を描きながら、なぜか人に好かれ、居場所を作っていく物語。