あらすじ
西暦4200年代。人類圏を十数国家が巻き込む《環状星域戦争》が襲った。
《アルケイディア恒星連邦》軍は、辺境惑星ネレイスで壊滅的敗北を喫する。
残されたのは、旧式戦艦7隻を中心とするわずかな敗残艦隊。
そして、避難を待つ約100万人の民間人。
迫る《ヴァルハルト王朝》軍は、およそ3000隻。
しかも味方艦隊の燃料は、通常の戦闘機動なら残り3日分しかない。
誰もが「敵を突破する方法」を考える中、第17星域艦隊の補給参謀ユリウス・レイン少佐だけは、敵艦隊の後方を見ていた。
3000隻の戦闘艦。
3000隻分の燃料。
冷却材、弾薬、交換部品、補給船。
巨大な艦隊であればあるほど――維持するだけで莫大な物資を食う。
「敵を倒す必要はありません」
ユリウスが選んだのは、決戦でも玉砕でもなかった。
逃げる。
時間を稼ぐ。
敵に無駄な加速をさせる。
補給線を引き伸ばす。
追撃部隊と主力を引き離す。
そして、100万人を生きたまま戦場の外へ連れ出す。
戦艦を沈めた数ではなく、
最後まで何人を生かして帰せるか。
これは後に銀河最大の戦争を揺るがすことになる、一人の補給参謀と敗残艦隊の撤退戦から始まる物語。