あらすじ
2040年、冬。超高齢化社会を迎えた日本では、生活保護受給者であっても介護保険の1割負担が義務付けられていた。
長きにわたる「就職氷河期」を非正規雇用として生き抜き、身を粉にして働きながらも貧困のまま老いを迎えた結城昭夫。彼はタバタ製04型介護自律AIロボットなしではベッドから起き上がることもできない生活を送っていたが、度重なるレンタル料の滞納により、ついにロボットの強制回収日が訪れる。
福祉用具専門相談員の新海は、ロボットを奪うことが結城の「死」を意味すると理解しながらも、会社の規定に従い重い足取りでアパートへ向かう。しかし、そこはすでにもぬけの殻だった。結城は自力で歩けるはずもなく、巨大な介護ロボットと共に姿を消していたのだ。
通報を受けた警察官の柴崎は、雪の残る道に続く重いキャタピラの痕跡を追う。
社会から見捨てられた老人は、冷たい機械と共にどこへ向かったのか。絶対的な安全装置である「生命保護の原則」を組み込まれたAIが、最後に出した答えとは――。