あらすじ
「ありがとう。助かったよー」
にっこりと笑いながら車の中でピーナッツは言った。
「別にいいですよ。たまたまですから。それに困ったときはお互いに助け合うのが『旅人』ですから」
アーモンドは小さく笑ってそう言った。(それからアーモンドは透明なカップに水滴のついている飲みかけのアイスコーヒーをストローで飲んだ)
小さな赤い車の外に広がっている風景は一面の黄緑色の草原だった。どこまでもどこまでも続いている見渡す限りの大草原。その中にある一本の道の上を小さな赤い車は走っている。
時間は夕方。大きな真っ赤な色をした太陽が沈みかけていて、世界の全部をほんのりと橙色に染めている。
風はとても気持ちよくて、その風を感じるために車の窓は開けていた。
ピーナッツは荷物の間に木の板を持っていた。その木の板には『街まで乗せてください』と手書きの文字で書いてあった。ピーナッツは道の横でヒッチハイクをしていたのだった。そしてアーモンドが小さな赤い車を止めて、ピーナッツを乗せてくれたのだった。
ピーナッツとアーモンドは二人とも十四歳の女の子だった。
アーモンドは車を自分で運転できる年齢ではなかったのだけど、車にはもともとハンドルがなくて、運転しなくても『車は勝手に走っていた』。自動運転の車なのだ。