あらすじ
2035年。東京が核の炎に沈んで数年。
瀬戸内海をまるごと埋め立てて築かれた巨大な新首都『新京』は、国民をICチップで24時間管理する、無菌のユートピアだった。
国家治安維持局の暗部『鴉(からす)』に所属する執行官、戌亥迅(いぬい・じん)。
過去のテロで肉体の7割を失い、極秘技術による軍用サイボーグ『鉄鋼マシーナリー』として蘇った彼は、感情を殺し、命令のままに国家の敵を物理的に粉砕する「国家の犬」として生きていた。
完璧なはずの監視社会で頻発する武装テロ。
新京の闇で暗躍するアメリカCIAの最新鋭女性サイボーグ、エイダ・クロムウェル。
そして、海の向こうから市民に決起を促し続ける『日本亡命政府』のプロパガンダ放送。
血塗られた任務を冷徹に遂行し続ける戌亥の機械脳に、やがて微かな「ノイズ」が生じ始める。
正義とは何か。自由とは何か。自らが命を懸けて守るこの国家は、本当に正しいのか――。
世界の勢力図が激変した架空の東アジアを舞台に、滅びゆく狂気の軍事国家で、最後まで「犬」としての矜持を貫こうとした男の、孤独で壮絶な戦いの記録。