あらすじ

中学三年の冬。  塾の授業を終えた沢田は、クラスメイトの三井から「一緒に帰ろッ!」と声をかけられる。  快活で、少し意地悪で、どこか憎めない三井。  彼女に頼まれると、沢田はいつも素直に応じたくなる。  冷やかす同級生たちの視線を背に、二人は雪の降る夜道を歩き始める。  五分にも満たない帰り道。  とりとめのない会話を交わしながら、二人は卒業後に別々の高校へ進むことを確認する。 「お別れやな」  その言葉を三井から聞くのは二度目だった。  以前、クラスが離れるときにも同じ言葉を聞いた。  けれど、そのときは塾で再会することができた。  今度のお別れは、本当に最後になるのかもしれない。  団地の坂道で別れ、三井が駆け上がっていく背中を見送る沢田。  二人は卒業の日まで変わらず言葉を交わしたが、一緒に帰ったのは、その夜が最初で最後だった。  大人になった今も、ときどき沢田は思う。  三井は、今どこで、何をしているのだろう。  少年の日の、名前をつけることのできなかった淡い感情を描いた青春短編。

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カクヨム
カクヨム2026/08/15
  • 現在の作品二度目のお別れ