あらすじ

49歳、孤独、自由という名の漂流。IT何でも屋の田中誠は、傷つく恐怖から逃げ続けてきた「逃避の履歴」のような人生を送っていた。 午前二時の京橋。彼はヴィンテージ雑貨屋のフリマアプリに眠る、3年間非公開のまま毎日19時に「1PV」が刻まれ続ける奇妙なシステムバグを、職人のプライドだけで無理やり修正する。データは動き出したが、田中の人生の澱みは消えない。 凄まじい自己嫌悪に駆られ、飛び出した冷たい夜道。深夜の国道一号線は、ハザードランプを点滅させたまま微動だにしないトラックの列で完全に機能停止していた。 すがるように滑り込んだ空車の個人タクシー。しかし、わずか数十メートル先で車列に阻まれ、温風の音だけが響く気まずい密室状態と化す。 スマホのブラウザを開けば、そこには自分の隠したい、目を背けてきた現実が生々しく並んでいた。 「ずっと同じ場所でエンジンふかしてても、すり減っていくだけ」と自嘲する運転手の言葉に自分の情けなさを重ねながらも、田中は先ほど自らの手で「19時の壁」をこじ開けた指先の熱を思い出す。 劇的な逆転劇なんて起きない。49歳の中年男が泥泥とした夜をサバイブする、ビターで愛おしい大人の夜明けの物語。 (完結済み)

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カクヨム2026/08/15
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