あらすじ
婚約記念肖像の朝、伯爵令嬢セヴリーヌは「髪を結うしかできない使用人まがい」と蔑まれ、婚約者から妹との新たな婚約を告げられる。
それでも妹の婚礼支度は姉の務めだと命じられ、彼女は初めて言い切った。
「もう無料では引き受けません」
家を出たセヴリーヌが王宮で向き合ったのは、重い冠の痛みに耐え続ける王妃だった。
だが、「崩さないこと」に囚われていた彼女は、最初の支度で王妃を傷つけてしまう。
ほどいて、尋ねて、やり直す。
朝の時刻を厳しく管理する冷徹な王弟ロアンと衝突しながら、彼女の髪結いは、無償の「奉仕」ではなく、人の痛みと尊厳を守る正式な仕事へ変わっていく。
一方、セヴリーヌの警告と有償の代案を退けた家族は、妹の婚礼当日、豪華な髪飾りを崩壊させる。
慌てて助けを求められても、もう遅い。
拒んだ安全な髪型を倍額で依頼することになり、式は大幅に遅延。さらに二つの取引、追加融資、本家の家宝を借りる権利まで失っていく。
それでも責任を押しつけようとする元家族へ、セヴリーヌは自分の言葉で告げる。
「私の名も、技術も、もうあなた方のためには使いません」
愛の名を借りた無償労働を拒んだ令嬢が、仕事も恋も自分の意思で選び取る、お仕事×ざまぁ×溺愛ファンタジー。