あらすじ
「――お前は、もう存在しないことになった」
公爵令嬢レティシアの中身は、日本のブラック企業で危機管理を担当し、過労死した元社畜。異世界でも飢饉対策も財政再建も、すべて陰で回してきた。だがその成果は第二王子オルフェと継妹ミレーヌに横取りされ、挙句に婚約破棄。証拠を捏造された末に、彼女は毒杯を呷らされる――。
「過労死したのに、異世界でまた過労で殺されるとは」
そう思いながら意識を手放したレティシアが目を覚ますと、そこは月光にだけ真の姿を現す伝説の回廊だった。初代女王との契約により、彼女は「夜だけ実体を持つ半霊の花嫁」として蘇っていたのだ。
「夜勤限定の非正規蘇生ってことですか」
もう我慢はしない。危機管理のプロである彼女は、夜の力を使って昼の嘘を一枚ずつ剥がしていく。喚くのではなく、証拠と論理で、静かに、確実に。
そして毎晩、回廊で花束を抱えて彼女を待つ男がいた。『氷の団長』と恐れられる第一王子アルヴィス。無表情な彼が、なぜ死んだはずの自分の名を知っているのか――。
過労と裏切りに殺された元社畜令嬢が突きつける、静かで痛快な「ざまぁ」。そして、月光の下で紡がれる不器用な恋の行方。二度目の人生、今度こそ幸せをつかめるのか。