あらすじ
神戸市東灘区魚崎南町にある、老舗のパン屋「ポピー」。
父親が事故で大怪我を負ったことをきっかけに、パン職人の妹・栄子と、販売や店舗運営を担う姉・優美が、2人で店を切り盛りすることになった。
そんな姉妹を隣家から見守るのは、丸々とした“たま”が名前の由来となった雄のぶち猫――たま子。餌をくれる栄子と優美が大好きな彼は、魚崎一帯を仕切るボス猫でもある。
近所の神社で毎日開かれる猫会議には、各地の猫たちが見聞きした情報が集まってくる。人間たちが隠している恋心も、秘密も、猫の情報網には筒抜けである。
ある日、優美の元同僚・長谷川敬助が近所へ引っ越してきたことで、ポピーを取り巻く人間関係が少しずつ動き始める。
これは、焼きたてのパンの香りに包まれた街で繰り広げられる恋と日常を、ボス猫・たま子が「吾輩」の目線で見つめる物語である。