あらすじ
世界には、地下へと連なる巨大な《層》が存在する。
各層の奥には、《層核》と呼ばれる謎の存在がある。
そこへ辿り着いた者に与えられる選択肢は、二つ。
その層に眠る新たな能力《レイラ》を一つ**《獲得》**するか。
すでに持つレイラを、より上位の力へと**《昇華》**させるか。
一つの層で選べるのは、どちらか一つ。
そして、その選択をやり直すことはできない。
各層に存在するレイラは、通常三種。
そして、ごく稀に発現する希少レイラが一種。
《獲得》を選んでも、どの力を得るかは選べない。
浅い層で得られるのは、光を灯す、物を温める、水を浄化する――そんな生活を少し豊かにする程度の力。
だが、深く潜るほどレイラは強力になっていく。
新たな力を求めるか。
それとも、一つの力を信じて昇華させ続けるか。
その選択の積み重ねが、探索者一人ひとりの力を形作っていた。
人類が到達した最深部は、第5層。
その先――第6層以深から生還した者は、歴史上ただの一人もいない。
ゆえに人々は、第5層こそが「世界の果て」だと信じていた。
少年、「ノア・アベル」もまた、そう信じる一人だった。
――幼い頃に地下へ向かったまま消息を絶った、父を除いて。
ある日、ノアのもとに差出人不明の一通の手紙が届く。
見たこともない紙。
そして、そこに記されていたのは、忘れもしない父の筆跡だった。
書かれていたのは、たった一行。
――第12層より。
存在すら知られていない、第12層。
父は生きているのか。
なぜ、誰一人として帰還したことのない第6層を越えられたのか。
そして――
この世界は、いったいどこまで続いているのか。
真相を確かめるため、ノアは世界の底を目指して降り始める。
第1層。
ノアが《層核》から授かったのは、ごく稀にしか現れない希少レイラ――
《幸運》。
小さな偶然を、ほんの少し自分に引き寄せるだけの力。
強くもない。
敵を倒せるわけでもない。
だがノアはまだ知らない。
その小さな幸運が、やがて世界の定めた法則さえ狂わせ始めることを。
第2層、第3層、第4層、第5層――。
新たなレイラを《獲得》するのか。
今あるレイラを《昇華》するのか。
選択を重ねながら、ノアは父の足跡を追って深層へと進んでいく。
そして、人類が「世界の果て」と呼ぶ第5層を越え――
ついに誰一人帰ってきたことのない、
第6層へ。
そこでノアが目にするのは、人類がまだ知らない《第六位》のレイラ。
そして、《層核》と《レイラ》に隠された真実。
なぜ《層》は存在するのか。
なぜ人間に力を与えるのか。
父はなぜ、第12層から手紙を送ってきたのか。
やがて父を追うだけだった少年の旅は、
世界そのものの秘密へと繋がっていく。
――これは、
誰も知らない世界の底を目指す少年、
ノア・アベルの物語。