あらすじ
七月二十五日、高校二年生の相沢がスクラップ置場で拾ったのは、人間そっくりの少女だった。
体重138.5キロ。名前なし。感情らしいものもない。
相沢は彼女を「ナナ」と名付け、取り壊しを待つ木造アパートの六畳間で、奇妙な同居生活を始める。買い物、スイカ、海、熱帯夜、浴衣、夏祭り。合理性しか知らなかったナナは、役に立たないこと、失敗すること、誰かと分けることを少しずつ覚えていく。
その一方で、夏の空では説明のつかない異常が静かに近づいていた。
――これは、古い首振り扇風機が六秒と七秒で風を分けた、一度きりの夏の話。