あらすじ
辺境の教会で古文書の修復に明け暮れる少女・セリアには、誰にも負けない特技がある。それは、古びて傷ついた紙片の「記憶」を読み解き、本来の姿へと戻す指先だ。
ある日、彼女の元に王都からの勅命が届く。それは、王立文書院で長年「触れてはならない」と封印されてきた、第一紀の「誓約書」の修復だった。
王立文書院の長官アルベルトは、切れ者として知られる冷徹な男。彼はセリアの技術を認める一方で、過去のトラウマから心を閉ざし、王宮内の権力闘争に翻弄されていた。
最初は事務的な関係だった二人。しかし、セリアが古文書を直すたびに浮かび上がるのは、王国の歴史を根底から覆す「ある真実」の欠片だった。
「このインクの滲みは、意図的に隠された嘘の痕跡です」
セリアの言葉が、アルベルトの冷え切った心を溶かしていく。二人は信頼を深めながら、文書院の奥深くに隠された陰謀の正体に迫っていく。しかし、真実を暴こうとする彼らの前には、歴史を歪めてでも権力を維持したい宰相一派の魔の手が忍び寄る。
国を揺るがす秘密を抱えた誓約書を、セリアは修復できるのか。そして、孤独を抱えるアルベルトが、修復士の指先に触れ、自身の心を取り戻す日は来るのか。
古文書を直す指先が、誰よりも深く心に触れる。辺境の修復士と冷徹長官が挑む、王宮再建ファンタジー。失われた歴史を直した先に、二人が見つける「未来の誓約」とは――。