あらすじ
分家に生まれ、支える側として育てられた無月は、自分の人生の歩み方を知らない。
守ると決めたのは、白い髪の女・加藤白嶺だけだった。
ある朝、その白嶺に言われる。「働け」「カイシャに行け」「これからは対等だ」と。
カイシャ——それが何なのか、無月はよくわかっていない。
それでも断れず、月が二つある名字「月村」をもらい、スーツを着て未知の建物へ向かう。
待っていたのは、総務の席、スベる上司、意味不明の渾名「ムンムン」、そして「会社では加藤さんと呼べ」と何度も言ってくる白嶺本人だった。
恋も、群れることも、私服すらろくに持たない影の女が、昼の光の中で少しずつ居場所を作っていく。
本編『色を斬る母「白嶺」』のその後を、ゆるく、おかしく、温かく描く日常譚。