あらすじ
新駅を造れば、十一人の妖怪が消える。
大城市役所・都市計画課の宮守誠司は、新駅建設の住民説明会で、三百人もの“住民票を持たない住民”と出会う。
四百年以上使われてきた妖怪の生活道路《暮六つ道》。
その真上に、新しい駅が建設されようとしていた。
だが、駅を必要としている人間もいる。
病院へ通う高齢者。
通勤や通学に困る住民。
衰退する商店街。
だから宮守は、どちらか一方を選ばない。
「古いから正しいわけじゃない。でも、新しいから正しいわけでもない」
刀も霊能力も使わない。
使うのは、
条例。
予算。
測量。
防災。
住民説明会。
都市計画。
古い妖怪が都市化で消えていく一方、防犯カメラやGPS、終電から新しい妖怪も生まれていく。
やがて一つの駅を巡る問題は、
妖怪にも住所は必要か。
税金は払うのか。
土地を所有できるのか。
公共交通を使えるのか。
そして――妖怪にも選挙権は必要なのか。
という問いへ広がっていく。
人間だから優先しない。
妖怪だから守らない。
同じ町で暮らすために、互いに少しずつ面倒になる。
妖怪×市役所×都市計画。
“共存”を制度から作る、現代お仕事ファンタジー。