あらすじ
「ナサータが逃げた。この国を出たのだ」父達に説明されてすぐに逃亡者であり王太子の婚約者だった姉の罰としてエノンが王家に身分と肩書きを与えられ、大量の仕事を押し付けられた。家の後継者としてやっていたことだろうと押し付けられ、毎日誰かに呼ばれて「申し訳ございません」「生きていてごめんなさい」と謝罪をさせられる。
嫌な物を食べさせられ、飲み物を頭の上から乗せられる。嫌味なんてものではない人格否定の数々。心は麻痺して泣くことはなくなり深く眠れることもなくなった。仮婚約者の王太子からは愛していた姉が逃げた恨みをぶつけられる。
親と初めて面会できた日、妊娠を告げる母と後継者の椅子も愛情も自分のものではなくなった。「なにもするな」救済しないくせに生贄のまま置いていかれた。何も感じなくなり無感情で過ごしていると疫病が流行ったらしい。
使用人にさえ無視される己にできることはない。と、他人事だと傍観していると裏切り者の姉が祖国を救いに英雄として舞い戻ってきたが、私の考えたノートを元にしていたことを知る。聖女であると持て囃される女や大喜びする王太子、歓迎する親と弟。姉が戻って嬉しそうにしているが妹を見た彼らは目を逸らして、居心地が悪そうに見てくる。国の者達も。
でも皆はもうどうすればいいのか知っているから。見捨てられてぐちゃぐちゃになった私はそしてまた箱の中に押し込められた。