あらすじ
大和朝廷の覇道の先鋒に、『百(もも)の敵を斬る』と恐れられた若き皇子がいた。
彼の名は五十狭芹彦(いさせりひこ)——のちに『桃太郎』と呼ばれる英雄。
稀代の予知能力を持つ姉・トトは、弟に下された「西の海賊王・温羅(うら)」の討伐令が、朝廷の冷酷な罠であり、弟の死を意味することを見抜く。
犬、猿、雉——それぞれに深い因縁を抱えたお供たちとの瀬戸内の冒険。
しかし、吉備の地で待ち受けていたのは、壮絶な裏切りと、英雄の早すぎる『死』だった。
「モモの遺志は、この私が継ぐ」
弟を救うため黄泉比良坂へ向かった姉は、弟の魂が宿る桃の神剣を携え、大巫女『百襲姫(モモソヒメ)』として覚醒する。
大和の覇道を拒絶し、亡き弟の夢見た「鬼なき国」を創るため、彼女は和風孔明とも言うべき圧倒的な知略で山陽道を突き進む。辿り着いた西の果て、北九州。
日蝕の暗黒を神剣の光が切り裂くとき、民は彼女をこう呼んだ。
——諸国の共主、女王『卑弥呼』と。これは、誰も知らなかった桃太郎の結末であり、邪馬台国誕生の物語。