あらすじ
「書類係の仕事など、誰でも代わりが利く」
宮廷契約院で10年間、成果の見えない古文書の更新業務を黙々と続けてきた三等契約官リオン。 宮廷の「近代化改革」により、彼は無能の烙印を押され、退職金の減額査定つきであっけなく解雇されてしまう。
だが、愚かな王国の上層部は知らなかった。 この世界の結界、精霊の水利、魔物の不可侵条約、そして竜王の休眠に至るまで——すべては世界そのものと結ばれた【古代契約】によって維持されていたことを。
そして、その契約を読み解き、更新し続けられる人間が、世界にリオンただ一人しか残っていなかったことを。
リオンが立ち去ったその瞬間から、彼が担当していた三百件の古代契約は、期限順に自動失効していくカウントダウンを始める。
一方、王都を出たリオンは辺境の街で小さな「よろず契約事務所」を開業。 千年の封印から解放した美しい大魔女ヴィオラを相棒に、持ち前の『綻び視』と羽ペン一本で、悪徳商会の罠契約をひっくり返し、精霊や魔物たちと新たな絆を結んで一躍注目の的になっていく。
その頃、王都では三百年灯り続けた精霊灯がひとつ、音もなく消え去ろうとしていた——。