あらすじ
24年前に生産を終えたスポーツカー「RZ-7」。
その名を、水素ロータリーエンジンとともにもう一度世に送り出すプロジェクトが動き始めた。
プロジェクトリーダー補佐を務める25歳の桐生遥は、旧型RZ-7の開発に携わった技術者を祖父に持つ。
けれど彼女自身は、ローターの形状を設計することも、燃焼制御を書き換えることもできない。
設計する人。
試す人。
壊す人。
止める人。
磨く人。
伝える人。
何百人もの仕事が重なりながら、新しいRZ-7は少しずつ形になっていく。
しかし、発表まで残された時間は少ない。
海外試験で一度だけ現れた異常。突然取り消された高速試験場の予約。そして、市販化を前に突きつけられる「本当にこの車を世の中へ出していいのか」という問い。
遥はその開発の日々の中で、やがて気づいていく。
受け継ぐとは、昔と同じものを残すことではない。
未来へ届けるものは、名前でも、技術でもない。
まだ無いものを、造ろうとする想い。
水素ロータリーを搭載した架空のスポーツカー「MAZBA RZ-7」を巡る、ものづくりの物語。
ものづくりに携わるすべての人たちへのラブレター。